世界の水戦略

水問題を巡って

水は人間が生きていくのに必要不可欠なものなので、有史以来人は水の問題に悩み、時に水を巡って争いを起こしてきた。現代でも人口の増加など水不足を招く様々な問題が存在し、多くの国々が水不足に陥っている。そして、この先一層水不足が進行していくことが予想されている。そのような現状を受けて世界中の国家が水問題への取り組みを活発に行いはじめ、水ビジネスの需要が高まってきたのである。

地球上には毎年一人の人間に、必要な量の2倍の水を与えることが出来るだけの水資源があるが、水資源の格差が激しいために7億人近い人間が厳しい水不足の状態にある。また、食料需要の増加に伴う農業用水の需要の増加や、エネルギー開発に伴う水の需要の増加など、現代ではますます水の需要が増えてきた。これらの過剰な水の需要は地下水の枯渇などの新たな問題を発生させている。

このような水不足でありながら水の需要が増加しているという問題の多い現状を危惧して、世界の各国はそれぞれに水問題に対する国家的な取り組みを始めた。まず、中国や韓国、シンガポールのような、国内で深刻な水の問題を抱えている国が大量の資金を投入し、自国の水問題を解決しようとした。その巨大な需要に応えるために、技術を持っている国も国家を挙げて水ビジネスを進展させようとしている。また、水不足の問題は人類にとって共通の問題であるから、世界水フォーラムを開催するなど国際的に解決していかなければならない。その国際的な動きの中で、日本がどのような水戦略を展開していくかは重要なことである。